自転車もルールを守ろう!
新型コロナの影響で自転車の利用が増えています。
通勤手段を電車から自転車に代えたり、自転車でのデリバリーサービスをよく見かけるね。
そんななか気になるニュースがありました。
悪質自転車への違反金検討 刑事罰「不十分」―警察庁検討会
警察庁の有識者検討会は、次世代の小型モビリティー(移動手段)と速度や大きさが同程度の自転車の交通ルールについても議論した。
悪質で危険な違反が相次ぐ一方、刑事罰による責任追及が不十分だとして、新たに行政処分となる違反金の導入を検討すべきだとした。
えっ!?自転車も違反金?
以前から話題はあったけど、具体的に検討するというのは初めてだね。
違反金制度の内容は?
違反金制度はこれから検討されるため具体的な内容は決まっていませんが、報道による情報や類似制度から推察してみます。
対象になる人は?
制度ができたらどんな人が対象になるの?
自転車利用者のうち軽微な交通違反をした人が対象で、14歳以上が目安になるようだね。
取り締まりの際は運転免許証やマイナンバーカード、学生証といった身分証明書などで本人確認が行われる見込みだよ。
14歳未満についてはどうなるのか。長年、交通違反の取材をされているジャーナリストの今井亮一氏によれば、
子どもの違反については、自転車の持ち主として登録された親(保護者)から違反金を徴収する。子どもに対し安全運転指導を徹底できなかった親の責任を問うのである。
と保護者に責任が及ぶ可能性を述べています。
すでに似たようなことが駐車禁止違反で行われています。車両を駐車違反場所に停めていた場合、原則は運転者の責任ですが、運転者がわからないときは車の所有者が責任を負うことになります。これを応用して、14歳未満の違反行為は自転車の所有者である保護者の責任になるかもしれません。
違反金は?
違反金はどのくらいになるんだろう?
車やバイクの反則金制度と同等に基準になると思うよ。
反則行為の種類 | 反則金額 |
---|---|
携帯電話使用等(保持)違反 | 12千円 |
信号無視(赤色等)違反 | 6千円 |
指定場所一時不停止等違反 | 5千円 |
無灯火違反 | 5千円 |
自転車には運転免許制度がないため、車やバイクのような点数制度は作らないみたいだよ。
出典:毎日新聞「自転車に少額違反金 取り締まりの新制度創設へ 14歳以上検討」2021年4月15日
なぜ制度ができるの?
自転車利用者が交通違反をした場合、現状では「罰金」しかないんだ。
そもそも違反金は、罰金とは異なります。
罰金は懲役や禁固刑と同じ刑事責任を問う「刑事罰」のひとつで、重大な交通違反をしたときに裁判所に出廷し裁判を受けることになります。有罪となれば、いわゆる「前科」がつくことになります。
一方、違反金は、車やバイクの反則金制度と同じ道路交通行政の安全を確保する「行政罰」になると思われます。裁判手続きはとられませんので「前科」がつくことはありません。
違反をしたら前科がつくの!?
それが違反金制度を創設する大きな理由だと言えるよ。
交通取り締まりで検挙された場合、軽微な違反では「交通反則告知書(通称:青切符)」という青い紙、悪質・重大な交通違反には「告知票・免許証保管証(通称:赤切符)」という赤い紙が警察官から交付されます。
青切符は反則金を払えば刑事上の責任は免除され、赤切符は刑事上の責任を問われ、裁判を受ける可能性があります。裁判となればほとんどが有罪となり、罰金が科されます。
自転車には車やバイクのような反則金制度がないから、赤切符しか交付されない。だから「罰金」のみなんだ。
交通取り締まりによる自転車の検挙件数は、2009(平成21)年度に1,616件だったものが、2020(令和2)年度には25,465件と急激に伸びています。
■自転車の交通取り締まり検挙数
一方、警察庁の有識者会議の報告書には、
他方、自転車の違反に対する刑罰的な責任追及が著しく不十分なものにとどまっている状況を踏まえれば、指導取締りについては、刑罰に代わる少額の違反金を課すなど、非刑罰的な手法も含め、違反の抑止のために実効性のある方法を検討すべきである。
とあります。
前科がつく罰金はハードルが高いようで、検挙された自転車による道路交通法違反のうち、起訴されたものは1~2%にとどまっているそうだよ。
取り締まりをしても、そのあと何もなければ意味がないよね。
そこでハードルを下げ、違反者の責任を問いやすくしようとしているんだ。
まとめ
自転車は免許制度がないから誰でも簡単に乗れるけど、事故を起こさないようにルールを守らなければね。
交通違反で検挙はされなくても、警察官が危険だと判断して注意喚起(指導警告)した件数は、2020(令和2)年度だけで1,437千件もあったんだ。
自分はルールを守っていても、相手が守らなければ事故に遭うかもしれない。そのときのためにも「自転車保険」の加入は必要かもしれないね。