守れてますか?交通ルール
自転車は誰もが手軽に利用できる便利な乗り物です。
ボクも乗れるよ。
事故やトラブルは周囲の人たちに大きな影響を与えるから気を付けて走行しないといけないよ。
交通違反で取り締まりにあったらどうなるのか解説していきます。
自転車も取り締まりの対象です!
道路交通法上、自転車は軽車両であり、車両の一種です。道路を走行する際は法令を遵守することを定められ、違反行為を行えば、車やバイクと同様に取り締まりの対象になります。
車のようにスピードが出ないからあまり取り締まられなさそうだね。
そうとは限らないよ。2015(平成27)年6月に道路交通法が改正され、悪質かつ危険な運転をする自転車の摘発が強化されたんだ。
指導警告が多い違反は?
■指導警告票交付件数
出典:警察庁「自転車の交通指導取り締まり状況」
警察官が違反行為を目撃した場合、その行為が危険だと判断したら注意喚起を行うことになっているよ。
いきなり処分はされないということ?
そうだね。まずは交通ルールの遵守を意識するように指導するけど、その際、「指導警告票」と呼ばれる黄色い紙が渡されるんだ。
参考:高知県警察本部「自転車交通安全教育の時間 平成27年2月号(第19号)」
■違反の内訳
出典:警察庁「自転車の交通指導取り締まり状況」
無灯火はわかるけど、歩道通行者に危険を及ぼす違反ってなに?
「歩道通行者に危険を及ぼす違反」とは、自転車が歩道を通行する際に2台以上で並んで走ったり(並進)、歩道を徐行せずに通行することなどをいうよ。
歩道は歩行者が優先されていますので、歩行者に危険を及ぼす通行は指導警告の対象になります。
処分されやすい違反は?
違反行為が危険かつ悪質なときは処分の対象になります。
■自転車の交通取り締まり検挙件数
出典:警察庁「自転車の交通指導取り締まり状況」
右肩上がりで増えているね。
道路交通法が改正されるたびに、自転車の違反取締りは強化されていったよ。2004(平成16)年の検挙件数が85件だったから、警察庁がどれだけ力を入れているかがわかるね。
出典:警察庁「自転車の交通指導取り締まり状況」
信号無視や遮断機が下りた後の踏切侵入が多いね。
どちらも自転車だけでなく車やバイク、電車など大勢の人を事故に巻き込みかねないから処分されても仕方がないよね。
違反者のペナルティは?
懲役・罰金
自転車が違反行為で摘発された場合、車やバイクのような反則金制度(行政処分)がないので、刑事処分となります。
刑事処分とは裁判所に出頭し裁判を受けることだよ。
懲役もしくは罰金が科せられ、いわゆる「前科」がつくことになるんだ。
「前科」だなんて処分されると大変なんだね。
信号機の信号等に従う義務(信号無視)
取り締まりのなかで最も多い信号無視。
自転車は、道路を通行する際、信号機などに従わなければなりません。
特に、横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用信号機に従わなければいけません。(道路交通法:第7条)
指定場所における一時停止(一時不停止)
自転車は、道路標識などで一時停止すべきとされている場所では、一時停止しなければなりません。(道路交通法:第43条)
2020(令和2)年度には自転車側の一時不停止で発生した交通事故が3,514件もあったよ。
車両などの灯火(無灯火)
自転車は、夜間走行するときはライトを点灯しなければなりません。また、反射材をつけていない自転車(尾灯をつけている場合を除く)は夜間に運転してはいけません。(道路交通法:第52条、第63条の9)
警察官からの指導警告が多い違反だね。
酒気帯び運転等の禁止(酒酔い運転)
酒気を帯びて自転車を運転してはなりません。また、酒気を帯びている人に自転車を提供したり、飲酒運転をする恐れがある人に酒類などを提供するのも違反です。(道路交通法:第65条)
自転車であっても車やバイクと同様に重い罰則になっているよ。
自転車運転者講習制度
信号無視や一時不停止、酒酔い運転など一定の違反行為(危険行為)または交通事故を3年以内に2回以上行った人は、運転免許証の有無にかかわらず都道府県公安委員会から自転車運転者講習の受講を命じられます。
1回の講習時間は3時間、講習手数料として6,000円徴収されます。受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金が科せられます。
次のような違反が講習の対象になるよ。
危険行為15類型
1.信号無視
2.遮断踏切立ち入り
3.指定場所一時不停止等
4.歩道通行時の通行方法違反
5.制動装置不良自転車運転
6.酒酔い運転
7.通行禁止違反
8.歩行者用道路における車両義務違反
9.通行区分違反
10.路側帯通行時の歩行者通行妨害
11.交差点安全進行義務違反
12.交差点優先者妨害等
13.環状交差点安全進行義務違反等
14.安全運転義務違反
15.妨害運転(交通の危険のおそれ、著しい交通の危険)
安全運転義務違反には傘をさしながらの運転、携帯電話・スマートフォン等を操作しながらの運転で交通事故を起こした場合も含まれるよ。
また2020(令和2)年6月の改定からは妨害運転いわゆるあおり運転も追加されたよ。
違反金制度
2021(令和3)年3月におこなわれた警察庁の有識者会議で自転車の違反対策として、違反金制度の創設が議題に上りました。制度の詳細はこれから検討を進めることになりそうですが、この制度が実施された場合に対象となる違反は現在の指導警告レベルになる可能性があります。
指導警告されたケースだけでも100万件以上あるのに、本当にそうなるの!?
可能性は0ではないと思うよ。2020(令和2)年に道路交通法違反で取り締まられた(告知・送致)件数は575万件もあるんだ!
毎年500万件以上の違反取締り実績があり、今の指導警告書の交付制度をそのまま違反金制度に置き換えれば容易にできると思うよ。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「道路交通法違反の取締り状況(2020年)」
まとめ
自転車が交通事故を起こした際、違反行為があったとされた件数が44,053件と、違反がなかった(23,620件)ときより倍近くも多かったよ。
出典:警察庁「自転車関連交通事故の状況(2020年)」
ルールを守って走行すれば、事故を起こすことも、事故に遭う可能性も低くなるということだね。
その通り!ルール以外にも、自転車事故で死傷した人のヘルメット未着用率が毎年90%前後になるから、万一に備えてヘルメットの装着と自転車保険の加入も検討しようね。