2021年1月火災保険料が値上げ!

2020(令和2)年7月、大手損害保険各社が2021(令和3)年1月に住宅向けの火災保険料改定を発表しました。
損害保険大手4社が、2021年1月から住宅向け火災保険料を全国平均で6~8%程度引き上げる方針を固めたことが8日、分かった。各地で自然災害が多発し、保険金の支払いが増加したため。大手の一斉値上げは19年10月以来となる。
出典:時事ドットコムニュース「火災保険料6~8%値上げ 自然災害多発で―大手損保」

同じ時期に地震保険料の改定も予定されているので、地域によっては大きな値上げになりそうです。

去年上がったばかりなのに、また上がるの!?お買い物行ってもいろいろと上がってもう大変!

落ち着いて!今回の値上げの理由は何か?値上げを回避する方法はあるのかを見ていきましょう。
火災保険の保険金支払いが増えてる?
2019(令和元)年10月30日に、損保会社各社で設立した損害保険料率算出機構が火災保険料を決める際に参考される「参考純率」を平均で4.9%引き上げすることを発表していましたので、今回の値上げを予想していた人は多かったでしょう。

保険金支払いに充てられる部分(純保険料率)を料率算出機構が算出し、「参考純率」として保険会社に提供しています。
今回の改定も、2017(平成29)年10月に発生した台風21号による被害(総支払保険金1,216億円)、2018(平成30)年9月に発生した台風21号による被害(総支払保険金1兆678億円)など、2017年度から2018年度に発生した自然災害での保険金支払い増加に対応したものです。
実際どのくらい増えているのでしょうか?
■保険金の推移
出典:損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況2019年度版」を基に作成
火災、爆発などで支払われた保険金はこの10年間、ほぼ横ばいで推移していますが、自然災害による支払保険金の割合が増えていることがわかります。
さらに自然災害ごとに支払われた保険金のランキングも見てみましょう。
■過去の主な風水災等による保険金の支払い(2020年3月末現在)
出典:一般社団法人日本損害保険協会「過去の風水害等による高額支払保険金事例(見込み含む)」を基に作成
- *1 支払件数、支払保険金は見込みです。支払保険金は千万円単位で四捨五入を行い算出しているため、各項目と合算した値と合計欄の値が一致しないことがあります。
高額な保険金支払いとなった自然災害が2014年以降に多く発生していることがわかります。ここ数年「観測史上最大」や「数十年に一度の規模」という言葉をよく耳にします。大型台風も1年に1度ではなく、複数発生している状況を鑑みると、今後も火災保険など自然災害での損害を補償する保険は値上げ傾向が続くことが予想されます。

2018年度、2019年度とも自然災害の被害で支払われた保険金が1兆円を超えているから、近いうちにまた上がるかも…。
保険料の値上げはどれくらい?
今回の改定でどのくらい上がるのでしょうか?「全国平均」となっていますので大きく値上げする地域もあれば、値上げ幅が小さいところ、反対に値下げする地域もあります。
■建物構造および都道府県の別に、全ての築年数の契約を平均した改定率
(保険金額を建物2,000万円、家財1,000万円とした場合)
出典:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率改定のご案内」を基に作成
- *1 耐火構造(鉄筋コンクリート造等)の共同住宅
- *2 M構造以外の耐火構造の建物、準耐火構造(鉄骨造等)の建物
- *3 M、T構造以外(木造等)の建物

マンションの「M」、耐火建築物の「T」、非耐火建築物の「H」とすると覚えやすいです。
一方、築10年以上の建物はこの割引がありませんので、上記の数字よりも保険料が大きく値上げする可能性があります。

築10年以上の建物では、熊本県のH構造が35.0%と最も大きな値上げになります。
値上げに対応する方法は?
火災保険料が今よりも値上げしそうな場合、どうすればいいか?その対応方法を見ていきましょう。
値上げ前に契約する
一番シンプルな方法です。ここで重要なのは保険期間を長期間にすることです。値上げ前に長期間の契約をすることで保険料の値上げの影響を遅らせることができるうえ、「長期割引」も適用されるので1年ごとに契約するよりも保険料は安くなります。現在は最長10年間までとなっています。

ウチは値上げ後に契約の更新が来るから、参考にならないわね。

ちょっと待って!そういうときには「中途更改」という方法もあるよ。
必要な補償、免責金額を見直す
建物の構造、強度や立地場所で必要な補償は異なります。タワーマンションの最上階などに住んでいるのに洪水被害の補償はあまり必要ないかもしれませんよね。
また、多少の被害であれば自己負担で修理されることもあるでしょう。その場合は自分でいくらまで負担するかを決めて、免責金額を設定するとよいかもしれません。免責金額を高く設定すると保険料は安くなります。
築年が浅く、高性能な住宅であれば適用できる割引が多くありますので、漏れがないか確認するのも大切です。

いくつか保険に加入している場合、「個人賠償責任保険」が重複していることがあるよ。これを見直すだけで年間数千円安くなることも。
地震保険も同時期に値上げ?
2011(平成23)年3月に発生した東日本大震災を受けて、損害保険料率算出機構は2014(平成26)年から地震保険の大改定を始めました。

大きく分けると、①保険金支払区分の見直し、②保険料の見直しがあるよ。
これまで2017(平成29)年1月に全国平均5.1%、2019(平成31)年1月では再計算が行われて全国平均3.8%と2回値上げが実施され、最後となる3回目が2021年1月に行われると見られています。3回目の値上げは全国平均で5.1%の見込みです。
まとめ
火災保険、地震保険ともに21世紀に入ってから支払件数、支払保険金がともに増加しています。自然災害はいつ起きるかわかりません。自分の大切な財産を守るためにも保険の加入はかかせません。一方、保険料の値上げも続くものと予想されています。無駄な特約や重複している特約はないか、保険金額は適切かなど見直しも重要です。