生命保険には入るべき?


万一のときに備えて加入する生命保険。会社に就職した、結婚した、子供が生まれたときなど、人生の節目で周囲から勧められたり、ぼんやりとだけど入っておいたほうがいいような気がして、加入を検討したことがある人は多いのではないでしょうか。
とはいえ、「生命保険って必要なの?」と思われる人もいるかもしれません。今回は様々な調査データをもとに、生命保険加入の実態や必要性を見ていきます。

あなたはナゼ生命保険に入ったの?

日本人は無類の生命保険好きと言われていますが、実際のところどうなのでしょう。

■生命保険(簡易生命保険、生命共済等を除く)保有契約数の推移
個人向け生命保険保有件数推移グラフ出典:一般社団法人生命保険協会「2019年版生命保険の動向」を基に作成

イヌくん

「個人保険(終身保険、定期保険など)」については11年連続で保有契約件数が増えています。

このほか、JA共済連の生命総合共済の保有契約数が2,163万件、郵便局などで2007年まで販売していた「簡易生命保険」も2020年5月末時点で1,126万件の保有契約があります。
出典:郵政管理・支援機構「簡易生命保険の保有契約状況-2020年度05月期」
出典:全国共済農業協同組合連合会「JA共済連の現状2019(平成30年度決算)」

まもるくん

これだけ契約があるということは、みんな生命保険に入っているのかな?

解説イヌくん

生命保険文化センターが2019(令和元)年に18歳から69歳までの4,014人に行った調査によれば、82.1%が生命保険もしくは生命共済に加入しているそうだよ。

■生命保険加入率の推移(男女別)
男女別の生命保険加入率の推移表出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」を基に作成

男女ともに直近の調査では加入率が80%を超えています。平成初期においては男性の加入率が女性を上回っていましたが、平成22(2010)年の調査で逆転し、近年も増加傾向にあります。
さらに世代別の加入率も見てみましょう。

■生命保険加入率(男女・年齢別)
性別および年齢別の生命保険加入率グラフ出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」を基に作成

男女とも40歳代の加入率が高いです。結婚、子供の誕生、住宅購入などのライフイベントが起きやすく、家族の生活を考え、老後の備えを始める年代でもあるので加入が増えているものとうかがえます。

イヌくん

60歳代になると、契約期間が60歳までだった、子供が経済的に独立したことなどによる補償の見直しなどで加入率が下がったものと思われます。

■直近加入契約の加入のきっかけ(複数回答)
 男性
生命保険に加入したきっかけを男性年齢別に表したグラフ
 女性
生命保険に加入したきっかけを女性年齢別に表したグラフ出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」を基に作成

どの世代でも、周囲からのすすめで加入していることが多いです。また年代ごとの特徴もよく表れています。20歳代は就職、30歳代は結婚、子供の誕生をきっかけとする一方、50、60歳代では加入していた契約の終了、解約をきっかけにしていることが目立ちます。また40歳代から、自分で必要性を感じての加入が増えているのは、老後を見据えているものと思われます。

■直近加入契約の加入目的
 男性
生命保険に加入した理由を男性年齢別に表したグラフ
 女性
生命保険に加入した理由を女性年齢別に表したグラフ出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」を基に作成

男性、女性ともに病気やケガに備えての加入が多く、男性は20歳代、60歳代でトップ、女性はすべての世代でトップになっています。男性30歳代では貯蓄や、働けなくなったときの備えとしてのニーズが高まり、男性40歳代では一家の働き手として、自分が死亡したときの家族への補償を考えている傾向が見て取れます。

焦るイヌくん

20歳代の男性のうち5.7%が、加入目的がわからないと回答しています。これってどうなんでしょう……。

多くの人が何らかの目的をもって生命保険に加入していることがわかりました。一方、生命保険に加入していない人もいます。

■生命保険非加入の理由(複数回答)
出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」を基に作成

「経済的余裕がない」「保険料が高い」とお金にまつわる理由が全体的に多いです。年齢・男女別で見ると、30歳代の男性で「会社の福利厚生があるから」と回答した人が14.6%、60歳代の女性で「国の社会保障があるから」と回答した人が11.1%いました。生命保険以外で補えるものがあればそれを有効に利用するのも一つの手段です。

焦るイヌくん

60歳代の男性のうち13.3%が、「生命保険が嫌い」と回答しています。嫌いなものは仕方ないですね……?

一方、50、60歳代の男女の10人に1人以上が、「健康上の理由や年齢制限のため加入できなかった」というものがあります。高齢になるほど保険の加入が難しく、生命保険会社から契約の引き受けを断られることもめずらしくありません。保険加入の検討や見直したりするのは、高齢化する前におこなうのがいいかもしれません。

生命保険は必要?

人は生活をするうえで様々なことに直面し、どう対応するか考えることが多いです。

■日常生活の悩みや不安について(複数回答)
内閣府が調査した生活における悩みや不安のグラフ出典:内閣府政府広報室「国民生活に関する世論調査(令和元年6月)」

「お金」や「健康」に関する項目に多く集まっています。どちらが欠けても生活が困難になるので、当然の結果かもしれません。
これまで見てきた調査データからもわかると思いますが、何を重視して将来に備えるかは男女別、世代別に見ても人それぞれ異なります。単身世帯か家族世帯かでも状況は千差万別です。

■金融資産の保有目的
単身世帯と二人以上世帯で金融資産の保有目的の違いを表したグラフ出典:金融広報中央委員会「令和元年(2019年)家計の金融行動に関する世論調査」

  • (注)「金融資産を保有している世帯」における比率。


単身世帯では自分のために金融資産を持っている場合が多いですが、二人以上の世帯となると自分だけでなく子供に関する項目が多くなっています。

万一のために加入する生命保険。結論から言えば、加入は必要です。ただし、「誰のため」「何のため」に加入して将来に備えるのかがはっきりさせなければなりません。
生命保険に入っていない人の理由にもあるとおり、決して安い金額ではありません。保険に加入して生活が困難になっては意味がないです。勤務先の福利厚生や国の社会保障でも万一の際には充分役立つこともあるでしょう。それらを活用してもなお不足が生じるようであれば生命保険が必要です。
また、「なんとなく入らない」というのも問題です。万一の事態を想定したうえでのことならばいいでしょうが、ほとんどが想定をしていないと思います。突然のことに対処できず、生活を困窮させる危険があります。
現在は自分で情報を集めることが簡単にできます。受け身にならず、人に流されず、何が大切で必要かを考えてみましょう。

驚くイヌくん

生命保険に加入する際、複数の生命保険会社の保険商品や保険以外の金融商品と比較するなどの経験がある人が25.2%に対し、特に比較をしていない人は67.9%もいました。
出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」

まとめ

生命保険は万一の備えとして加入しますので、どんなリスクを軽減するのか、自分の老後のため、残された家族の生活を安定させるため、目的に合わせて保険設計をすることが大切なのではないでしょうか。そして目的が変わったときには、新たな目的に合わせて見直しをおこなうこもと必要です。