台風被害に備えて保険を確認しておこう!
毎年日本列島に襲来する台風。近年では地球温暖化によって台風が強力化し、甚大な被害をもたらしています。
2019年9月に関東を襲った台風15号。各地で観測史上最も強い風が吹き荒れ、千葉県では鉄塔や電柱が倒れて大規模な停電が発生しました。東京湾に到達した時点で中心気圧955ヘクトパスカル、最大風速45メートルと、関東に接近・上陸した台風としては「過去最強クラス」でした。専門家は「地球温暖化が進んで海の温度も上昇すると、台風はより強くなる。関東だけでなく、ほかの地域でもこれまでにない強さの台風が接近・上陸するリスクが増大している」と警告しています。
出典:NHK「強力化する台風 列島上陸リスク増大」(2019.10.7)より
毎年発生する台風の数は26個前後、そのうち「日本に上陸した台風※」は5個前後だそうです。※ 台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合
参考:気象庁「台風の統計資料」
台風が来たら学校が休みになるからうれしいけど、たくさんの被害がでるのはイヤだな。
そうだね。実際にどのくらいの被害がでているのか見てみよう。
出典:一般社団法人日本損害保険協会「過去の風水害等による高額支払保険金事例(見込み含む)」を基に作成
- *1 支払件数、支払保険金は見込みです。支払保険金は千万円単位で四捨五入を行い算出しているため、各項目と合算した値と合計欄の値が一致しないことがあります。
えっ!1兆円もあるの!?
観測史上最悪の被害者を出した「伊勢湾台風」(1959(昭和34)年9月発生)、上陸時の中心気圧が最も低かった「第二室戸台風」(1961(昭和36)年9月発生)などこれまでも大きな被害をもたらした台風はあったけど、ここ数年の台風も大きな経済的被害が起きているんだ。
そのためにも保険に加入して、万一の被害に備えることは重要なんだ。
でも、どんな被害でも対象になるの?
それじゃあ、台風による被害を保険でどこまで補償できるのか見ていくよ。
火災保険は台風の損害もカバーします
台風で建物や家財が被害を受けたとき、「火災保険」に加入していれば補償の対象になります。
台風といっても、受ける被害はいろいろとあるよ。
風災補償
すごく強い風が吹くから、いろんなものが飛ばされたり、倒されたりするよね。
「火災保険」の風災補償は、
など、風による被害を受けたときに保険金が支払われることになっているよ。台風以外にも、竜巻や突風などの風災損害、雹や大雪などの雪災損害も含まれるよ。
補償の対象は建物とその周辺というけど、タンスや家電などの家財はどうなの?
家財についても、台風で屋根や窓が破損して家の中にある家財が雨にぬれた場合は補償の対象になるよ。
エクセス方式とフランチャイズ方式の違いは、エクセス方式は、保険会社が認定した損害額から免責金額を差し引いて保険金が支払われます。フランチャイズ方式は損害額が一定額を超えないと保険金が支払われないけど、超えた場合は損害額が保険金として支払われることになります。
※いずれの方式でも契約の際に決められた保険金額が上限となります。
水災補償
台風は暴風だけでなく、大雨、高波、高潮などをもたらし、川の急激な増水が生じたり、道路や住宅の浸水、道路のアンダーパス等の地下空間の水没といった被害も発生させます。
「火災保険」では、台風、暴風雨、豪雨などによる洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石などの水災によって発生した損害も契約時の保険金額を上限に、実際の損害額が保険金として支払われます。
建物が水に浸かった場合に補償してもらえるんだね。
建物だけでなく、建物の中にある家財も補償の対象になっているけど、保険金が支払われるには条件を充たさなければならないんだ。
- 建物が床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水
- 火災保険の補償対象となる物の再取得価額(同じものを新たに建てる費用、購入する費用)の30%以上の損害が発生した場合
いずれかを充たす必要があります。
「床上浸水」とは、建物の居住部分の床つまりは畳やフローリングを超える浸水のことです。そのため玄関の土間やたたきのみへの浸水程度では補償されない可能性があります。
「地盤面」とは、建物が周囲の地面と設置する位置をいいます。建物の周囲が一般的な成人男性の膝上まで浸水した場合は補償の対象となる可能性が高いです。
旧来の住宅総合保険や一部の火災保険には、損害の割合に応じて損害額の5%、10%、70%が保険金として支払われる方式(水災縮小支払型)になっていることがあります。この場合では再築、再購入費用に充たず、不足分を自己資金で補う可能性があります。また、旧来の住宅火災保険では水災の補償が付帯されていません。
落雷補償
台風の際に稀だけど落雷による被害も発生するよ。
ゴロゴロと音がするだけでびっくりするよね。雷で建物や家財が壊れた場合も補償してくれるの?
そのとおり!落雷で発生した損害も補償されるよ。
建物への落雷被害としては2003(平成15)年9月3日、国会議事堂の本館中央塔頂部が雷の直撃を受け破損したことがありました。
参考:時事通信社「落雷で破損した国会議事堂中央の屋根」(2003年09月03日)
注意!火災保険で補償されないケース
火災保険に入っていれば台風の被害があっても大丈夫だね。
そうだね。でも火災保険に入っていても、補償の対象外になる場合もあるから確認しておこう。
火災保険で補償の対象となるのは、台風によって建物の屋根や窓などが破損して雨が室内に吹き込んだ場合です。しかし、暴風雨で強く叩きつけてくる雨は、窓や玄関などの開口部の隙間からしみ込んできたり、壁面の通気口、換気口などから雨水が侵入することがあります。このような建物外部の破損が起きていないときの吹き込みや雨漏りは補償を受けられないことがあります。
建物の経年劣化や老朽化などで細かなヒビが生じたり、屋根などの耐水性能が落ちていることがあります。そのようなところから雨水が侵入してきて家財が濡れたりした場合は補償の対象外となる可能性があります。
補償の対象外となったケースとして、台風前から張り出し屋根の柱の根元が腐食し、倒れ掛かっていたため修繕しようとした矢先に台風で倒壊した事故で、経年劣化が原因とされ補償を受けることができませんでした。
この事例では台風が上陸する1ヶ月以上前に業者に見積り依頼し、工事計画書が出来上がっていたこと、工事業者から腐食がひどく、大風でなくても倒壊する可能性があったと証言があったため対象外になった模様です。
被害に遭わないためにも、建物のメンテナンスは大切だね。