マンションに水災補償は不要って本当?
火災保険は自然災害で家屋や家財が壊れたときも補償の対象になりますが、ここ数年は台風を中心とした自然災害によって被害が増加し、火災保険金の支払いも年々増えてきています。
また火災保険料が値上げになるのね。契約内容を見直そうかしら。
不要な補償がないか、補償が足りているか見直しをするのはいいことだよ。
そうね。ウチはマンションだから洪水の補償は不要かな。
ちょっと待って!マンションでも補償が必要な場合があるから、よく確認してからにしたほうがいいよ。
水災補償とは?
「火災保険」では、台風、暴風雨、豪雨などによる洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石などの水災によって発生した損害も契約時の保険金額を上限に、実際の損害額が保険金として支払われます。
保険金が支払われるためには以下の条件のうちいずれかをクリアしている必要があるよ。
- 建物が床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水
- 火災保険の補償対象となる物の再取得価額(同じものを新たに建てる費用、購入する費用)の30%以上の損害が発生した場合
家の中にまで水が入ってこないと補償されないのね。
うん、フローリングや畳の上まであがってくる必要があるよ。
マンションだとそこまで水がくるのかしら?
マンションが水災被害に遭う可能性は?
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から東京都内の想定される最大規模の浸水区域と水深を調べたところ、以下の場所で5~10mの浸水が予想されています。
- 足立区千住、新田地区
- 葛飾区小菅、堀切、立石地区
- 北区志茂、浮間、舟渡地区
- 板橋区坂下、蓮根、高島平地区
- 墨田区墨田地区
- 江東区北砂地区など
マンションの階高(建物の各階の高さ)は3~4m位が中心だから、水深10mの浸水となったら4階あたりまで水が来ることになるね。
えっ!そんなところまで水が来ちゃうの!?
これは、荒川流域で72時間以内の総雨量が632㎜となり、荒川のいずれかの場所から氾濫したときを想定しているよ。水深3~5mになると浅草・上野・銀座あたりでも発生が想定されているから、広範囲に被害が及ぶかもしれないね。
マンションでも下のほうの階だと被害に遭う可能性があるのはわかったわ。もっと上なら大丈夫ってことね。
上の階だからといって安心できないこともあるんだ・・・。
ベランダからの浸水に要注意!
洪水の浸水は河川が増水して堤防からあふれ出す「外水氾濫」だけではなく、側溝や下水道などに雨水が集中し排水能力をオーバーしてしまう「内水氾濫」によるものとがあります。近年、都市部では「内水氾濫」による浸水も懸念されています。
それがマンションとどう関係するの?
飛んできた枝や葉っぱ、土などが排水管を詰まらせたために浸水した場合は、「給排水設備の事故」として補償の対象となるけど、そのような原因がなかったときは「水災補償」をつけていないと補償されないということだよ。
マンションだからって絶対大丈夫だとは言えないのね・・・。
その他の注意点は?
今回の内容は自分が所有している部分(専有部分)についてのことだよ。
マンションのエントランスや廊下、機械設備など(共用部分)は所有者で構成されるマンション管理組合が保有しているから、その部分については別途、管理組合が火災保険に加入する必要があるから注意してね。
自分の火災保険だけでなく、管理組合で加入している保険も確認したほうがいいってことね。
そのとおり!万一、補償がなく修繕積立金が不足していたら、マンションの所有者全体でお金を出し合うことになるから、きちんと確認することが大切だよ。
まとめ
2019(令和元)年10月の台風19号では、東京都世田谷区や神奈川県川崎市のタワーマンションで浸水被害が発生し、住民の生活に著しい影響をもたらしたことは記憶に新しいところです。洪水の被害は階下のみではなく、マンション全体に影響を及ぼす可能性があります。各自治体で作成されているハザードマップなどをもとに周辺の浸水予想を確認し、水災補償を検討することが大切だと思います。