生命保険を選ぶ4つのコツ
生命保険への加入は「家の購入に次いで高額な買い物」と言われています。生命保険文化センターの調査によると、生命保険に加入する世帯は全体の9割近く、一世帯当たりの年間保険料は平均38万2000円(生命保険)で、40年間払い続けると、1,528万円もの大金になる計算です。医療保険を含めるともっと大きな金額になるでしょう。ここで、ぜひ保険を選ぶ4つのコツについて、チェックしてみてください。
①保険に加入する目的を明確にする
生命保険は、将来起こりうる経済的なリスクに備えるために加入するものです。一番重視して欲しいのは「自分が保険に加入する目的はなにか」ということです。まずは、自分の気になるリスクについて明確にしていきましょう。具体的には、「自分に万一のことがあったときの家族の生活が心配」「自分ががんになったときの入院費や収入が心配」「子供の教育資金を貯められるかが心配」などが挙げられます。
②自分のライフステージに合わせて必要な保障内容を考えて選ぶ
生命保険で備えるべきリスクは、年齢や家族構成、ライフステージなどで変化します。たとえば、同じ子供がいる家庭でも、夫婦が共働きか、家は持ち家なのか、などによって必要な保障内容(保障額、保険に加入する期間など)は全く違ってきます。一般的に、妻が専業主婦家庭の場合、万一に備えて世帯主の死亡保障を厚く持つ方が安心です。しかし、共働き家庭ではそこまで大きな死亡保障は必要ないでしょう。
また、子供が独立したら基本的に死亡保障は必要なくなるでしょう。つまり、ライフステージによって必要な保障内容は全く違うのです。
③保障と貯蓄は別々に準備しておく
保険に加入する際、「掛け捨てはもったいない」と貯蓄性がある商品を選びたくなりますが、おすすめはできません。なぜならば、保険料と保障内容のバランスがとれなくなるからです。たとえば「終身保険」は、保障と貯蓄を兼ね備えた商品ですが、掛け捨てでない分、定期保険と比べてみればわかりますが、保障はかなり少額になってしまいます。
また、低金利の今の時代、貯蓄性の高い商品を選ぶことは現実的ではないかもしれません。
④社会保障制度などで足りない部分を保険で備える
社会保障制度などについて、具体的な保障事例を見てみましょう。足りない部分を保険で備える方法がおすすめです。
(例1)
世帯主に万一のことがあった場合、残された家族には遺族年金が支給されます。会社員・公務員世帯で子供が2人いる妻の場合、子供が18歳になる年度の末日まで、遺族基礎年金と遺族厚生年金合わせて月額約14万円が支給されます。たとえば、遺族の生活費が30万円必要だとすると、保険で不足を補うのであれば、不足分の月額16万円の保険で十分であるということになります。
(例2)
病気やケガによる医療費は、高額療養費制度があり、ひと月の自己負担額には上限が定められています。所得により差がありますが、ちなみに、年収約370万~770万円以下の家庭の場合、医療費が100万円かかっても、自己負担額の上限額は月額で8万7430円です。なお、会社員、公務員の場合、加入の健康保険によっては「付加給付」といって、さらに上乗せを受けられる場合があります。たとえば、大手企業の健保組合は、収入の多寡に関係なく「1ヵ月の自己負担額は2万円」というところもあります。
なお、収支のバランスも考えて、医療費の一部などは保険ではなく貯蓄で備えることもひとつの方法でしょう。
(例3)
会社員が働けなくなると、健康保険から最長1年6ヵ月間、給与の3分の2に相当する傷害手当金が支給されます。
なお、この制度は国民健康保険などにはありませんので注意しましょう。
(例4)
世帯主に万一のことがあった場合、持ち家の場合で住宅ローンが残っていても団体信用生命保険で返済されます。よって、住宅ローン返済の心配はありません。
その他、会社の死亡退職金や弔慰金なども確認しておきましょう。
まとめ
以上保険選びのコツを説明しましたが、「加入目的はなにか」「その保険の保障内容は、今の生活に本当に必要なのか」「保障と貯蓄は別々に準備」などを考え保険を選ぶ必要があるでしょう。万一の際は大丈夫でも、あれもこれもの充実した保険の保険料は、家計を圧迫する可能性があるからです。
また、日本には充実した社会保障制度があるので、それでも不足する部分を補う保険を選ぶことが賢明と言えるでしょう。